1. 税理士業界と政治活動について
税理士は税理士法において、税理士業務の無償独占という権益を手にすることができましたが、一方では「申告納税制度の理念に添って、適正な納税義務の実現を図る」という職業上の社会的責務を負っています。税理士法第49条の11において、「税理士会は、権限のある官公署に対して建議や答申を行うことができる」と、業界意思を表明する権利が保証されています。
税理士会は、税理士法の精神を実現すべくこの権利(建議権)を行使して、社会的責務を果たすための様々な施策を執ってきました。税理士の業務である税務は、経済・財政・法務等と業界意思を表明するには、関連する法律の制定や改廃にかかわらざるを得ません。
法律の制定や改廃に関しては、立法府に対して働きかけ「議決権を持つ」国会議員一人一人の理解と協力を得ることが必要となります。これは既に「建議等」の枠を越え、ここにいわゆる政治活動が生ずることになります。
2. 税理士会の政治活動の限界と政治連盟設立の趣旨
ここに具体的な政治活動の問題が生じることになります。政治活動については、政治資金規正法及び公職選挙法という法の規制があって、特別法人たる税理士会がみずから政治活動することには限界があります。そのため、税理士会とは別人格の税理士政治連盟が結成されました。
税理士政治連盟は政治資金規正法上の政治団体として、「税理士の権益を守り納税者のための民主的な税理士制度と租税制度を確立する」ために政治活動を展開しますが、税理士政治連盟の政治活動は、税理士会が税理士法の精神を実現するために行われるもので、政党や政治家の思想信条に共鳴して行われる政治活動とは全く異なっています。